夏野菜の代表
函南の農園でも、無農薬・無化学肥料で、まずまちがいなく毎年たくさん収穫出来るのがナスです。トマトなどは、赤づくと目立つ為かおいしい為か、昆虫に吸われ、そこからすぐ腐るし、烏(カラス、山鳩?)のクチバシでエグられたらおしまい。それに対してナスは、目立たない色だし、生ではまにならない。ウィークエンド農業に最も適した夏野菜なのです。
ナスの原産国はインド。古書によれば中国、日本にも1500年前には伝わっていたようです。ペルシャ、地中海を経てヨーロッパへ伝わったのはもうすこし後ですが、現在では世界中で各種のナスが食べられています。
色の白い「タマゴナス」、緑色の「アオナス」があるようですが、私共がふだん食べるナスは形の大小、細太はいろいろありますが、色は、濃紺、つやつやしてなんともよい色ですネ。ナス紺といって、戦前流行した色のようです。この深い濃紺色はアントシアンという色素の一種のナスニン。ナスニンは太陽光ではじめてあのように発色するので、ぬか漬けには鉄釘などいれましたネ。今やっている方いるかな?ぬか漬け自体が家庭ではやりにくい時代ですからねー。
どうやって食べても私は好きですが、たまのぜいたくなら、京都のちょっとした所で食べる「加茂ナスの田楽」、スプーンでほじっている時って、幸せだなー。相好が崩れほっぺたが落ちる状態にいる自分がわかる。
さて薬としては、漢方薬の処方に組み入れることはないようで、もっぱら民間薬的に古くから使われていました。特にヘタの部分を、黒焼きにして歯槽膿漏や口内炎、歯痛、その他毒消しに使われます。そういえば、華岡青州が乳癌の手術をするときの麻酔薬として使った「朝鮮朝顔」も、ナス科の植物です。
「親の意見とナスビの花は百に一つも無駄のない」といわれるほど、食用から薬用、実・花・ヘタまで使われるナスビですが、この諺の由来は、花が咲いた分だけ残らず実をつけるナスの性質からきているそうで、ほんとに多収穫の便利な野菜です。