111.ハッカ(薄荷・ミント・メントール)—生命力の強い香草—

古くから香料として使用

ミント

シソ科の多年生草であるハッカ(ミント)は、漢方薬としては、むしろ欧米のハーブ、アロマテラピーの世界での方が有名かもしれません。でもガムやメンタムや肩こりにスーッとというハップ剤などを思い出してみれば、お馴染みすぎるくらい日常的に使われているものです。

ハッカといっても各種あり、日本に野生するのはJapaneseMintで、このニホンハッカは、メントールの含有量が多く、合成メントールができるまでは日本ハッカが世界中に輸出されていました。

このメントールは薄荷脳といわれ、1817年に岡山で栽培が開始されたという記録があります。南ヨーロッパ原産の西洋薄荷(ペパーミント)、中央ヨーロッパ原産の緑薄荷(スペアミント)など同じ仲間で、古くから香料として使われていました。当院の畑にもハッカを植えてありますが、シソ科の他のものと同様大変生命力が強いので、いくらでも増えます。

ギリシャ神話には、プルート神がメンタという美しき女性に迷ってしまい、やきもちやきの奥さんが夫の愛人メンタをやたらに踏みつけたのでプルート神はメンタを救うべく、香りの良い薬草に姿を変えてしまった。(メンタ→メントール)という話があります。成る程、ミントはさっきも書いたように強い植物で、踏まれたくらいでは全然枯れません。スーッとする感じは洋の東西を問わず同じで、同様に使われますが、口腔内を爽やかにするのが最も有名です。(ガムなど)

自律神経の働きをのびやかに

漢方薬としては、感冒初期の熱さましに、頭痛、肝気のうっ滞を動かしていく、現代医学的にいえば自律神経の働きをのびやかにするくすりに、顔を真っ赤にしているようなニキビや湿疹のくすりに、といった具合に使われます。どれもこれも、あの「スーッとする感じ」を古人が応用して作っているので、漢方薬というものが、あんまり難しい理屈からできているのではなく、実感的に、「感じる」クスリを組み合わせて作っているのだということがよくわかります。

プランターでいくらでもできますから、葉をちぎってそのまま熱いお湯を注いでミントティーに、湯船に入れてミント浴などは快適です。共に香りを充分楽しむことが大切です。