126.ミズキ(山茱萸・春黄金花)。弛緩した働きをひきしめる働きがあり夜尿や頻尿など老化現象に効果

八味丸の中心

サンシュユ

九州宮崎県の民謡に「庭のサンシュョの木、鳴る鈴かけて~」とあるのを以前からサンシュユなのかサンショー(山椒)なのか?と思っていた。どうも本来は今回話題にするミズキ科の山茱萸らしいのですが、サンシュユよりも山椒の方が馴染み深いので、現在は民謡協会がサンショウの方に統一しているようです。

九州宮崎県の民謡に「庭のサンシュョの木、鳴る鈴かけて~」とあるのを以前からサンシュユなのかサンショー(山椒)なのか?と思っていた。どうも本来は今回話題にするミズキ科の山茱萸らしいのですが、サンシュユよりも山椒の方が馴染み深いので、現在は民謡協会がサンショウの方に統一しているようです。

山茱萸は、春に黄色い小花が散形花序につき美しいので、春黄金花(ハルコガネバナ)とも呼ばれます。秋には、楕円形の長径1cmくらいの真紅の実をたくさんつけ、これも美しいから秋珊瑚と呼ばれ、庭木として街路樹としてよく見かけます。この赤い実は、グミの実と似ているけれど、グミは、山茱萸のような高木にならないし、全く別の植物。グミのことを「茱萸」と書くこともあるのでややこしい。共に食べられるという点では共通するけれども、別もの。

もううひとつ茱萸と書いて、「呉茱萸」という木は、これは、ミカン科の木でやはり秋になる実を漢方薬として使う点では共通しているが全く別の植物。こちらの実はまずくてとても食用にはならない。この呉茱萸は当院の薬草園にたくさん植えてあり秋の収穫、その後の処理も楽で、実際に使っています。

さて山茱萸ですが、これも当院の薬草園に10本近く植えてありますが、まだ小さく花を少し咲かせるだけで、実の収穫まではいきません。他の薬草園などでびっしり実をつけた山茱萸をよく見かけますが、収穫と処理のことを考えると気が遠くなります。

山茱萸は中国産のミズキ科の落葉高木で、江戸時代に薬用として輸入されましたが、前述のように今では花木として一般にひろまっています。

漢方では、秋によく熟した実を収穫し種を除き、果肉を乾かして使う。ちょうど干しぶどうのような感じ。酸っぱくて渋いがわずかに甘味もある。この酸っぱさが漢方薬には、肝や腎に働き、足腰の痛みや性機能低下や目まいや耳鳴りなどに効きます。渋味は弛緩した働きをキュッとひきしめる働きがあり、夜尿や頻尿などやはり老化現象に効きます。

ですから老化現象一般を防止するといわれる八味丸(六味丸)などに含まれて中心的な働きをしています。民間薬としては同じ意味で山茱萸酒をつくっておけば、八味丸を服用するのと同じ働き、老化防止、滋養強壮剤となります。