ソー(豚)+セージでソーセージ?
これまでを振り返ってみると、セリ科、ショウガ科、シソ科の登場が多い。"香り"が決め手だとわかります。(漢方では薬の性質を「性・味」で表現しますが、性が香りに相当します)シソ科は、紫蘇、薄荷をすでに紹介していますが、今回はソーセージでお馴染みのセージ。片仮名で書くのが相応しいハーブのうち、タイム・ローズマリー・ラベンダーなどがセージと同じシソ科です。庭やプランターに植えて重宝している方も多いでしょう。アニマルファームにはラベンダーが、拙宅の玄関先にはタイムが植えてあります。
セージは別名サルビア。シソ科アキノタムラソウ(サルビア・ジャポニカ)属に分類されます。薬用部分は葉で口中清涼剤、頭痛薬などにも用いられました。
ソーセージの「ソー」は豚という説と塩という説がありますが、いずれにせよ肉類の保存が最大の課題であった古代以来、とくに豚肉の防腐剤・矯味料として有名です。タイムが主として魚肉に使われてきたのも面白いですね。生活に不可欠な、あまりにも重要なスパイスですから、様々な伝説もつくられていますが、ローズマリーのマリーはキリストのマリアに由来するというほどです。
セージと同じシソ科アキノタムラソウ属の中国版が生薬「丹參・タンジン」です。これも二千年前の本草書に記載されている、古くから利用されてきた漢方生薬です。こちらの薬用部分は根。根皮が赤いので「丹參(赤參)」。
漢方には有名な人参の他にも、沙參、玄參、苦參など参(ジン)のつく生薬が多くありますが、この丹參は赤ですから、五行説でいう赤=心=血と関係が深い。四物湯という代表的な血剤(血にまつわる症状によく用いられる方剤)がありますが、この丹參は一味で四物湯に匹敵すると云われます。
近年には中国でこの丹參を主役にして、まさに心=血の病気、たとえば心筋梗塞などに用いる新しい漢方薬がいろいろ作られています。