8.アーモンド(扁桃・巴旦杏仁)—ヨーロッパでは古くから鎮咳剤に—

肉が薄くて扁平なので扁桃

今回は何をとりあげようかなーと思っていたら、久しぶりに木久蔵の「彦六伝」という落語をきいたので、アーモンドにしました。残暑しのぎに小噺を。
今をときめく小朝がまだ若かりし頃、大師匠にあたる彦六の誕生日に、甘党の師匠のためにと、チョコレートを持参してお祝いにかけつけた。さっそく一片を口に入れた彦六「なあ~んだ小朝、このチョコレートにはタネがあるじゃネーか!!」。 入れ歯でモグモグとアーモンドチョコをなめてしまい、ナッツを口から出して、こりゃ何だ、というあの晩年の彦六の表情も思い浮かび、私の大好きな小噺のひとつです。まあ木久蔵の創作だとは思いますけど。

アーモンドは古代から中近東で食用として栽培され、世界各地に広まりましたが、湿度の高い日本では栽培に適さず、現在では地中海沿岸やカリフォルニア産が有名です。中国の古医書には「樹は杏のようで葉がやや小さい。核種は梅核のようで、実は薄くて種は甘い」とあります。

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日本では江戸時代に栽培が試みられたらしく、「変種に阿米弁糖(アメンドウ)というのがあり、この実は小さく肉が少なく扁らで味は苦い。ただ核仁の味は甘く油が多いので果(くだもの)に充てるとよい」とあります。アメンドウはポルトガル語からの音訳で、英語でアーモンド。桃の実に似ているが肉が薄くて扁平なので扁桃。咽喉にあるのは扁桃腺ですが似てるかなー?

中国では巴旦杏といいますが、これは原産地ペルシャ語のバタムの音訳。日本でもプラムの出回る季節、ハッタンキョウ(八担杏とも)として売っていたことがありましたが、これはアーモンドを採るのとは別の食用のプラム。

杏仁に、苦甘、二種あって、それぞれ薬用、食用になるように、巴旦杏仁にも、苦味のつよい苦扁桃と甘くておいしい甘扁桃があります。後者がアーモンドです。前者が薬用になるのですが、日本や中国ではほとんど杏仁を使いますからわざわざ苦扁桃を使いませんが、ヨーロッパでは古くから苦扁桃水をつくって鎮咳剤につかっていました。杏仁水とほぼ同じものです。

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