23.海藻(マクリ・アヤギヌ・マコンブ・テングサ)—ヨードが豊富な毒下し—低カロリーでお腹一杯になるダイエット食

近代製薬工場の発展の基礎にも

漢方で用いる海草といえば、まず第一に海藻。発音は同じカイソウ。2千年前の中国の古医書に掲載されていて、日本では江戸時代に、ホンダワラをこれにあてたようです。昔から海のない山間地域では、甲状腺肥大が多く発生し、海藻の有効なことが知られていました。主成分がヨードであることは皆さん御存知。甲状腺ホルモンの成分として全身の新陳代謝に関係しています。

明治初年にフランス人宣教師が海藻の灰からヨードを採る方法を日本に伝え、ヨードの国産化がはじまり日本の近代製薬工場の発展の基礎となったといわれます。漢方では堅い腫ものを軟らかくして消す作用や、過剰な水分をとる作用があるとされ、甲状腺肥大や結核などの頸部リンパ腺の腫れ、肝硬変の腹水などに用いる方剤に配合されます。

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マクリは紅藻類の海人草のこと。生後間もない初乳以前の赤ちゃんに、これを吸わせて胎毒を下す、という習慣が1000年以上前からあったので有名。「まくり」は胎毒を下す薬の一般的な呼称ともなり、この海人草の入っていない「まくり」もあった。最近ではあまり用いないが、アレルギーの時代には見直されてよいかもしれない。
海人草のもうひとつの作用は駆虫作用。江戸時代からアヤギヌ(鷓鴣菜)とともに虫下しとして多用された。共に主成分はカイニン酸で、ヨモギからつくられる虫下しサントニンとあわせて、カイニン酸サントニンとして用いられています。

コンブはおなじみ昆布科のマコンブ。ようやく食べるクスリになりました。クロメやワカメも用います。食品のダシとしては、うま味成分のグルタミン酸やアラニン。薬としては海帯といい、薬効は海藻とほぼ同じ。

テングサ科のヒラクサを煮て溶かして固めた「ところてん」をさらに凍結乾燥したものは、お馴染み「寒天」。江戸時代初期、京都で大名が食べ残した「ところてん」を戸外に捨てたものが寒気で凍結し、鬆の入った乾物になっているのをヒントに宿屋の主人が作ったから寒い日の意味で寒天。御存知のように、この煮出し汁は常温で固体となるので、和風お菓子、微生物実験室の培地として不可欠。粉末で服用すると水を吸って膨隆するので慢性便秘によいし、低カロリーでお腹一杯になるダイエット食としても使われます。

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