22.屠蘇酒(おとそ)—お正月には欠かせない縁起物—

一人が飲めば一家が無病無疫

お正月に因んで「おとそ」の話。ひとつの生薬でなくて、古典では「大黄、桂心、白朮、桔梗、バッカツ、蜀椒、防風、烏頭」の八つの生薬をお酒につけたものです。もともと伝染病を防ぐ為のくすりですが、大黄と烏頭は強い薬ですから、現在ではそれらを抜いた、桂心(シナモン)、白朮(オケラ)、桔梗(ききょう)、バッカツ(ユリ根の一種)、蜀椒(サンショウ)、防風(ボウフウ)など身体を温めて風邪にかからないような薬を用いています。甘味をます甘草や陳皮(ちんぴ、みかんの皮)なども入れるとよいでしょう。現在ではそれぞれの「おとそ」が工夫され年末に売られるようです。

中国の唐の時代の「外台秘要」という総合医学書には、それよりずっと以前より伝わってきた正月の風習について以下のように記しています。「屠蘇酒は、疫病から人を守る。八種の生薬を刻んで紅い袋に入れ、大晦日に井戸につけておく。これによって井戸水を清らかな聖なるものにする。正月早朝、日の出と共にそれを取り出して、今度は酒で煎じる。
東方に向いて一家で飲む。飲む順序は年齢の小さな子供から年長のものへ。量は自由。一人が飲めば一家が無病無疫。一家全員が飲めばその家の一里四方が無病無疫。三日たったら煎じカスを再び井戸へつける。そうすれば一年中無疫である云々」。

この記述はそれより約200年後に日本でまとめられた最初の総合医学書「医心方」にも踏襲されていますが、もっと古くから正月の風習としては日本では同様のことが行われていたといいます。紅い袋は「茜の絹を四角く縫ったもの」が正式。

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正月早々「屠」の字とは

人類の医の長い歴史がつい最近まで(発展途上国では現在も)、疫病(伝染病)との闘いであったことが更めてわかります。屠蘇の字の由来はよく分かりません。屠殺の屠の字ですから正月早々縁起が悪い。そういう植物(薬草)があるという説もありますがどういう意味でしょうか。ご存じの方はご教示下さい。

年齢の若い順に飲むというのは、年長の者が若さにあやかるという意味合いがあるというのが普通の説ですが、薬というものは王(家長)が服用する前に家臣(子供たち)が先ず毒味をするものだ、という習慣からきているというやや意地悪い説もあります。
それでは無病を祈って乾杯!

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