50.クワイ(光慈姑・甘菜・山慈姑)—清熱解毒・散結などの作用—
炎症を冷まして毒を除き、堅まりを散らす

赤子を慈しんで乳を与える嫁

甘菜(アマナ)は日本の福島以南、朝鮮半島、中国に広く分布するユリ科の多年草です。
いま函南の畑では、先日までのムスカリに続いてチューリップが咲き誇っていますが、このアマナはユリ科の中でもチューリップにもっとも近縁で、いわばチューリップの野生種といえます。その球根(鱗茎)はニンニクやノビルなどと異なって味が甘い。そこで「甘菜」。

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この鱗茎をばらばらに剥がして乾燥した生薬を光慈姑、一般に山慈姑といいます。慈姑とは、お正月に食べるクワイの中国名。母根に子根(クワイ)が付着している様子を、赤子を慈しんで乳を与える嫁(姑)になぞらえた命名です。良質なデンプンに富み、栄養豊かなクワイは水性植物の根ですが、山野に生える同様に栄養豊かな甘菜に、山の慈姑と名付けたのでしょう。日本でもアマナの別名は「ムギクワイ」ですが、中国名「慈姑」由来でしょうか?

このように片栗に似た良質なデンプンに富み、味もよいので、鱗茎は焼いたり茹でて食用にされます。またグラニュー糖と焼酎に漬け込めば滋養強壮のアマナ酒。薬効成分としては、チューリップのチューリピン、イヌサフランのときに紹介したコルヒチンなど、薬理活性のつよい各種のアルカロイドを含みます。

漢方的には、清熱解毒・散結などの作用が知られています。炎症を冷まして毒を除き、堅まりを散らすという意味で、皮膚の腫れ物、蛇や虫の咬傷に、また 頚部リンパ節や耳下腺の腫れなどに外用薬としても内服薬としても使われます。体の中の堅まり=食道ガンや乳がん、リンパ肉腫などへの応用も研究され、それらに用いる処方に配合されます。

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