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9.アロエ(コダチアロエ、木立蘆會(ろかい)—手間のかからない生薬—
下剤として、婦人科のくすりとして

デザートもあります

アロエと一口にいっても300種もあるといわれています。いま日本でよく見かけるアロエは、ユリ科のコダチアロエ。医院の駐車場の傍らのアロエは何も世話しないのに何が気に入ったのか、プランターからはみ出し、雨水のわずかに通るコンクリートの溝のところにまで繁茂しています。
数年前ここから葉をちぎって畑の小屋のベランダの下、日当たりのよいところに刺しておいたものも、冬期にビニールや防風ネットで防寒しさえすれば、花を咲かすし、どんどん増えています。誠に手間のかからない生薬です。

ラテン語アロエ(Aloe)の語源はヘブライ語の「苦い」というコトバ"allal"から。アロエニンなどの成分が知られています。原産はアフリカの地中海地方。古代ギリシャ本草にも「収斂作用があり、眠りを催させ、身体をしっかりさせ、胃を洗浄する。黄疸を治す。皮膚病や痔によい。口中の一切の病気によい」等々の記載があります。

中国に入ったのは大分遅れて8~9世紀頃。10世紀の古医書には蘆會(ロエ)と音訳された漢字で登場します。興味深いのは中国の古書の図にはアロエは木として描かれていることで、ちょっと想像しにくいことですが、20メートルにも達する巨木のアロエもあるそうです。

日本に入ったのは鎌倉時代といわれてますが、民間でよく知られるようになったのは、大正時代に花の鑑賞用として広まってからです。先程書いたように栽培が容易なのでコダチアロエが普及したのですが、中国で薬として使われていた蘆會と同じような薬効のあることが知られて、こんどは鑑賞用としてより民間薬として広まりました。

トゲトゲのある肉厚の葉と、房状朱紅色の花は御存知の通り。肉厚の中身はゼリー状。これをそのまま虫刺されや切り傷につければ、まことに神効の如くで、畑にはなくてはならぬ常備薬です。夏の朝と夕方、畑にはブヨなどが飛びまわります。チクッとやられたらすぐにベランダ下まで走って葉をちぎり皮をむくようにしてゼリー状の部分をすりつけます。これでたいがいは一晩で跡形もなくきれいになおります。

漢方薬としては、ゼリー状を乾燥して粉末にしたものを用います。下剤として、婦人科のくすりとして。最近の自然食レストランではゼリー状のものをオードブルの一品として出すことがあり、私も一度食べたことがあります。

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