66.酒(白酒・清酒・薬酒)—百薬の長だが、過ぎれば毒—

薬とは切っても切れない縁

お酒。漢方医学の2千年前の書物にも、お酒で煎じるとか、お酒で服用するとかいう漢方薬の指示がたくさん出てきます。お米からつくった清酒、いわゆる日本酒とみていいようです。医学の医の字は、矢の入った堅い箱、という意味のようです。

旧字体は醫。さらに旧い字体は醫の下の部分が巫で巫女さんのことだから、その時代は占いが医学の主流でした。これが2千年くらい前から醫に変化します。この字の下の酉は酒のことで、堅いケースの中で発酵させる、漢方薬でいうなら、よく煎じてよい味のよく効くお薬に変化させるという意味です。ですから、この醫は占いにかわって、薬物療法という客観的な医学の誕生を指し示しているわけですが、その薬物療法と酒は切っても切れない縁があるというわけなのです。

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酒は百薬の長ではありますが、過ぎれば毒で、古医書には次のようにあります。「少しく飲むときは血を和し気をめぐらし、神を壮にし寒を防ぎ、愁を消し、水臓を暖め、薬勢をめぐらす。過て飲むときは、神を傷り、血を耗し、胃を潰し、怒を発し、甚しきときは吐血、消渇、労傷を醸し、明を失す。禍をなすこと少なからず、尤も甚しき者は酒によりて国家を亡ぼす。戒め、慎むべし。」注釈は要らないでしょうが、最後の方の甚しき者は、アルコール中毒は、家を亡ぼす。これは事実ですよね。本人と周囲のものを亡ぼします。

漢方薬としての酒は、文中「気をめぐらせ寒を防ぎ、薬勢をめぐらす」といった効能なら私共にもすぐ納得できるところです。「薬勢をめぐらす」というのは、冬の晩、空きっ腹に暖かいお酒を飲むと、五臓六腑にしみわたることを私共は実感しますが、そのようにお酒で漢方薬を服用したとき、その成分が目的の五臓六腑にしみわたりやすいということでしょう。

漢方薬として「酒」が単独で薬になることは勿論ありません。生薬を酒をふりかけながら炙ってその性質をよりつよめたり、生薬を酒に漬けておいてから丸薬にしたり、薬を酒で煎じて服用したり、丸薬や散剤を酒で飲み下すなどの利用法です。皆さんも、当帰芍薬散を服用する御婦人、八味丸を愛飲している御主人など、できれば少量の日本酒で服用されるとよいでしょう。

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