113.はとむぎ(苡仁)—日常的に使うならハトムギ茶を—

ハトムギ

鳩がよく食べるのでハトムギ

イネ科のハトムギの原産地はインド北部の熱帯アジア。食料として薬として世界中に拡がりました。中国へは仏教と同じようにヒマラヤ山脈(チベット)を越えて伝わってゆき、日本へも薬として少量ながら7~8世紀には伝わってきました。食品としては、どんな荒れ地にもできる雑草みたいな門ですから、救荒食品として栽培がはじまったのは江戸時代中期になってからで意外におそい。

17から18世紀にトウモロコシが世界的に普及する以前は、世界的には、麦を補助する中心的な穀物でした。大陸から伝わったのでチョウセン(朝鮮)ムギ、トウ(唐)ムギなどと呼ばれてましたが、鳩がよく食べるので明治以降にハトムギと呼ばれるようになりました。

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よく似ているがジュズダマ(漢薬名は川穀)。ジュズダマはその名の通り糸を通してジュズ(数珠)をつくったりして子供の頃遊んだ記憶があります。東京のド真ん中でも、ジュズダマが群精するような空き地が昭和20年代にはいくらもありました。一見ちょっと区別はつきまっせんが、ハトムギの殻は色が薄く、ジュズダマよりやわらかで、指でつぶれます。形もやや長い紡錘形で、涙がポタリと垂れる時の恰好から学名は「ヨブの涙」。

デンプン質の実験でおなじみ

食材、薬剤としてのハトムギは 苡(仁)と呼ばれ、脱穀して白いデンプンのところを使います。このデンプン、ハトムギは「モチ性」で、ジュズダマは「ウルチ性」です。従ってヨードチンキをつぶした粉にかければ、ハトムギは赤に、ジュズダマは青に変化します。忘れちゃったでしょう!理科の勉強をしているお子さんに聞いて下さい。

デンプンの他にタンパク質、脂肪も豊富にあり、脂肪酸の一種がコイキセンライド。これは抗腫瘍作用があり、昔からの「イボとり」の効能を説明します。ニキビや美肌つくりの為に石ケンや化粧品に配合されたり。これらの作用は、どうも日本的な使われ方のようで、中国漢方の世界では苡仁の効用は主として利湿作用(身体の中のよけいな水分=湿気をとりのぞく)です。従って関節の腫れ痛みなどに使われる処方によく配合されています。

食品としてはハトムギ茶を日常的に飲まれたらよいでしょう。降圧作用もあるといわれます。勿論、ハトムギ粥など、米に少しまぜてもよいし、たまにはいかが。

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