5.阿仙薬(あせんやく・ガンビール・方児茶)—収斂剤の代表—

喉の炎症に

阿仙薬は、渋いクスリ=漢方では収斂剤といいますが、その代表の一つです。主成分は渋いタンニン。阿仙薬はこのタンニンを主成分とする植物の水製エキスを固化したものです。タンニンを主成分とする植物にはいろいろあって、中国ではマメ科のアセンヤクノキからつくり、ペグ阿仙薬・孩児茶などと呼ばれています。

日本では主として、アカネ科のつる性常緑低木ガンビールノキからつくるものを使い、方児茶とも呼ばれます。このつる性のガンビールには、特有のトゲがあり、同じ科の日本でも自生しているカギカズラ(釣藤鈎・血圧を下げる作用がある)とよく似た植物です。

ガンビールとはマレーシアの現地名で、主な栽培地はマレー半島南部・スマトラ・ボルネオです。葉のついたままの小枝を撹拌しながら煮沸し、浸出液を煮詰めてよく練りながら冷やすと黄褐色になり、粘りがでてきて粘土状の塊となります。この黒褐色で表面に光沢のある固まり(児茶膏)を、3センチくらいのサイコロ状にカットしたものが「ガンビール阿仙薬」です。

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鞣皮(じゆうひ・皮のめし)剤として、また木綿・羊毛・絹などを黄褐色に染色する染料として、綱、網、帆布などの強化・染色に用いられます。東南アジア・台湾などでは葉を茶の代用としたり、このガンビールと椰子を胡椒科のキンマという木の葉でくるんで、ガムのように咬む習慣があります。口内清涼剤です。

日本には江戸時代の初期から輸入され、古書に「阿世牟也久」とあります。江戸時代の「万金丹」などの胃腸薬の主成分はこの阿仙薬でありました。

現代では胃腸薬としては、その収斂作用=下痢止め作用を生かして、現代の万金丹というべき「正露丸」に配合されています。また上記の口内清涼剤の日本版は仁丹で、この阿仙薬が配合されています。また喉の炎症で声がでないときに用いる家庭薬の「クララ」にも配合されています。

日本には年間100トン前後も輸入されているそうですが、ほとんどがこうした民間薬に用いられています。漢方薬としては、やはり声が嗄れて出ないときに用いる「響声破笛丸」に配合されます。

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