51.鶏卵(鶏子黄・鶏子白・鶏冠血・鶏内金・鶏屎白)—食用普及は明治以降—

鶏は丸ごと利用

鶏は古くから家鶏として飼育されていました。日本へは大陸から伝わり、奈良朝頃より飼育されていたといわれます。専ら祭礼用、鑑賞用で、古医書には「人家で故なくして鶏が鳴くのは荒鶏であり不祥事のある兆し。夕暮れに鳴くときは天恵のある兆し。老鶏で人間の言葉を解すもの、牝鶏で雄鶏のように鳴くもの、雄鶏で卵を生むもの、これらは殺せばよい。」などとあって、やはり朝を告げるあの鳴き声からでしょうか、ただの家畜ではなく、「霊禽」扱いされています。

また近年流行の黒いチキン、烏骨鶏のことも毛の黒いのと毛は白くても骨が黒いものがあると、書かれています。食用として普及したのはつい明治以降です。食用としての栄養は皆さんご承知の通り。古医書にも、薬として、薬膳として、いろいろな生薬といっしょに煮たチキンスープが沢山紹介されています。

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漢方薬名の鶏子黄は卵の黄身のこと。黄身は阿膠(ゼリー)と似た効がありと書かれていますが、実際生薬を煎じたあと、阿膠と黄身を溶かし込む方剤が有名で、熱で身体が弱ったときに使います。

鶏子白は白身のこと。白身の中にはリゾチームと呼ばれる抗菌物質が多量に含まれる為、火傷や外傷の皮膚の修復に最適。指の爪が化膿した(ひょうそう)の時、生卵に穴を明け、その指を突っ込むというやり方。
私は実際やったことがあります。白身につつまれると、化膿した部分がじーんと冷やされ傷みが軽くなった印象が残ってます。

鶏冠血は、トサカからしぼった血。意識不明で倒れている人の顔にベッタリ塗ると意識をとりもどすとあります。

鶏内金は、鶏の胃袋である砂ギモの内臓をはがしたもの。つよい消化剤。何でも消化してしまう鶏の胃袋をそのまま消化剤として用いるという古人のやり方です。

鶏屎白は、ケイシハクだから発音は鶏子白と同じでも、鶏の屎の白いところ。屎とは糞のこと。糞の白いところを集めて日干しをし、酒で煮つめてカリカリにしたものを粉末にして使います。糞を口に入れるのは抵抗があるかもしれないが、身近なところではウグイスの糞などはごく最近まで使われていて美顔剤ですから、そんなに奇異なことではありません。お腹のはったとき服用するとあります。

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