110.蜂蜜(白蜜・石蜜・蜜乳)—身を軽くして飢えず老いず—
外用としては美肌クリーム。そして何より滋養強壮剤

「百病を除き、百薬を和す」

登場するのが遅すぎたぐらい、ハチミツも食品であると同時に主要な漢方薬のひとつです。
洋の東西をとわず古代から用いられ、有史以前、例えばアルタミラの洞窟壁画にも蜂蜜の採取風景が描かれているし、古代インドの仏典などにも登場します。日本では、スサノオノミコトがオオナムチノミコトをこらしめる為に、蜂の部屋に閉じ込めるという(拷問ですね)記述があったり、日本書紀には朝鮮半島、百済の太子余貴が「養蜂」を日本に伝えたとあります。

2000年前の中国の医書には、常用してもかまわない薬(上品)として、「味甘平、心腹の邪気、驚、癇、痙を除き、五臓を安んじ気を益し、痛みを止め、毒を解し、百病を除き、百薬を和し、久しく服すれば志を強くする。身を軽くし飢えず衰えず」とその効能が書かれています。

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ハチミツは働きバチがいろいろな花の花蜜腺を吸って、巣に帰り貯えた甘味物です。いちどハチの前胃の中に入ったものを吐き出すので、この間に花蜜のショ糖は加水分解されて、大部分は転化糖になっているのが特徴です。それ以外に、脂溶性以外のビタミンなど、ほとんどすべての栄養源がそろっているといわれ、古代より人間に重用されていた理由がわかります。なお、もっと凄いといわれるのがロイヤルゼリー(蜜乳、ロイヤルから王乳とも)ですが、これは、蜂蜜ではなく、女王蜂をただ一匹残す為に、働き蜂たちが与える咽頭腺や大腮腺から分泌される栄養物です。
なにしろこれだけで育てられる女王蜂は、身体が他の蜂より3倍大きく、30倍長生きし多くの卵を産みつづけるのですから、そんなぜいたくなものを人間が見逃すはずはなく、特別に高価な健康食品となっているのです。

漢方では肺を潤し咳を止め、腸を潤し便秘に、胃の痛み、口内炎、火傷などに使われます。外用としては何といっても美肌クリーム。そして何より滋養強壮剤として他の生薬と組んで使われます。いちばん多い使われ方は、漢方薬を飲みやすくする為に味をよくする矯味。八味丸などおなじみの丸薬をつくる時の成型(粉末生薬のつなぎ)。他に、毒のあるトリカブトを蜂蜜で煎じると特別な使い方もあります。又潤腸作用をそのまま、まともに発揮させる使い方として、蜂蜜の水分をとばして固形にし、座薬にしてお尻にさし込むという浣腸的な使い方もあります。

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