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54.鯉(リギョ)—利尿や催乳作用がある—
産前産後の婦人に

天に昇って竜と化す「登竜門」

コイ目コイ科のお馴染みの鯉。コイはアジア原産とされていますが、現在では世界中に野生し飼育もされています。
湖沼、池、流れの緩い河川などに生育し、急流は好みませんから「鯉の滝のぼり」は実際にはありません。欧米では特に縁起のよい魚とはされていないようですが、中国や日本ではいろいろな信仰のシンボルになっています。あの四本の長いヒゲと大きな円い口、目立つ鱗からの連想でしょうか、鯉は天に昇って竜と化します。「登竜門」という言葉がありますが、この竜は鯉の化身です。人が鯉にまたがって天空を行くといった図柄がよくありますが、鯉と竜は同じものとされているようです。

そういえば「鯉のぼり」は天を飛翔しているわけだから竜のことですね。「鯉のぼり」もこの勢いよく上昇する竜のイメージと混ざっているわけです。鯉は目隠しをすると動きを止めるそうで、俎板の上でジタバタしない、男らしい(いまでは死語・差別用語かも)、潔い性格のシンボル「俎板の上の鯉」ですから、これも五月の節句に相応しい。

観賞用では色鯉(イロコイ)を選別育種した錦鯉(ニシキゴイ)が有名。寺社の池に多いのは、放生会(ホウジョウエ)という仏教の習慣から。捕らえた生き物(鯉・亀など)を放してやることが功徳になるという習慣。この池を放生池(ホウジョウチ)と呼びます。

食用としては世界中で利用されています。
中国料理で有名なのは、鯉の丸揚げに餡をかけた「糖酢鯉魚」。必ずコース料理の最後をしめくくる真打ちとして登場するのも「鯉魚」は中国語で言うと「リーイー」で「利余」と発音が似ていて利益や余裕がある、と縁起をかつぐから。
日本では鯉の焼き物は、切腹前の武士に供されたそうで好まれず、ほとんど「あらい」か「こいこく」ですね。後者は「筒切り」ですけど、武士の縁起としては大丈夫??

薬としては、赤小豆とこの鯉を煮たスープ「赤小豆鯉魚湯」を利尿剤として服用します。調味料ナシですから美味しくはないですが、薬膳ですね。同じように鯉と昆布や冬瓜子を煮た方剤もあります。いずれも利尿や催乳作用を目的に産前産後の婦人に用いられます。数種の生薬に鯉を入れた、ずばり「鯉魚湯」という方剤も古書にあります。

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